パリ
あなたの名において、いかに多くの歴史が創られてきたことか
フランク族の国家が成立しアッティラを撃退し、大学が生まれ学問が花開き
ダンテが、アベラールが、ノストラダムスが追放の身をよせ
自由を求め、学を修めた
百年戦争も、ユグノー戦争も
パリがあるからこそ激しさを増した
パリなくしてヴェルサイユは生まれ得ず
革命すら起こり得なかったに違いない
廃位され王座を追われた各国の王たちは、最後の安住の地をパリに求め
モーツァルトも、ワグナーも、レーニンも
トロツキーも、ヘミングウェイも
ピカソも、ダリも、ホメイニも、ツアヌークも、佐伯祐三も
皆がパリを選んだ
人々はパリで愛し合い、奪い合い
育みあい、高めあった
彼らが語る言葉のなかにパリの街角が見える
そこにユトリロの背景を見
ボードレールの霊感を感じ
ベルリオーズの旋律を聴き
シャネルのセンスを体感するだろう
保守的で、頑ななまで現状を変えることを喜ばない
それだけ完成されつくしたパリ
しかし、ひとたび何かを造るとなると、途方もなく斬新なことを平気でやってのける
あげくの果てに大スキャンダル
でも、1世紀もすればそれなくしてパリを語れないほど、街に溶け込んでしまう
そんなことが平然と起こる街
それがパリ