「絵で稼ぐ」「絵を描いて生活する」ためには、アーティストとしての作品販売だけでなく、戦略的な収益化方法や効果的なマーケティング、持続可能なビジネスモデルの構築が求められます。
本稿では、アーティストがどのようにして安定した収入を得るか、オンライン・オフライン両方の手段を活用し、成功を収めるための具体的なステップについて私、清水秋義が詳しく解説します。
◾️絵描き 清水秋義
スペインでマドリードリアリズムを学び、十数年後、抽象画に目覚め、銀座やニューヨークなどで展覧会を開催
https://purewateraki.com/
1.オンラインプラットフォームの最大限の活用
オンラインマーケットプレイスの選択
アーティストが絵で収益を得る第一歩として、オンラインマーケットプレイスの活用が重要です。代表的なプラットフォームには「Etsy」や「BASE」などがありますが、各プラットフォームごとに手数料や規模が異なるため、自分のニーズに合ったものを選択する必要があります。たとえば、Etsyは国際的なアクセスが強みで、BASEは国内販売に強い傾向があります。また手数料が高い場合でも、広範囲に作品をアピールできるメリットを考慮に入れるべきです。
SNSでのマーケティング
オンラインプラットフォームを通じた販売だけでなく、InstagramやX(旧Twitter)といったSNSでの作品プロモーションも効果的です。
SNSは、作品を世界中に発信するツールとして非常に有用で、定期的な投稿やフォロワーとの交流を通じて、ファンベースを構築することができます。特にInstagramはビジュアルに強いため、作品の画像や制作過程をストーリーやリールで共有することで、フォロワーの興味を引き、購入につなげる可能性が高まります。
ニューヨークのアーティストはInstagramに作品をアップすることが当たり前になっていました。
2.ブランド構築の重要性
アーティストとしての成功に欠かせないのは、独自のブランドを構築、そして発明をすることです。アートの世界では、他のアーティストと差別化を図るために、作品のスタイルやテーマに一貫性を持たせることが重要です。
「ブランディング」は単なる作品の売り方ではなく、アーティスト自身の価値を高め、ファンに覚えてもらいやすくするための戦略です。
以下の要素がブランド構築に寄与します。
統一感のある作品
ブランドを形成するためには、今まで誰もやっていない貴方だけのスタイルやテーマを持つことが効果的です。
例えば、ポップアートを専門とするアーティストであれば、明るい色彩やシンプルなデザインを貫くことで、見る人に強い印象を与えられます。
作品の一貫性は、オンラインストアやSNS上での認知度を高めるための要素となります。
ウェブサイトの活用
また、プロフェッショナルなウェブサイトを持つこともブランド構築に役立ちます。
ウェブサイトでは、ポートフォリオをまとめて展示し、アーティストのビジョンやストーリーを伝えることが可能です。定期的にウェブサイトを更新することで、常に新しいコンテンツを提供し、リピーターを獲得することができます。
3.ギャラリーを通じた販売とそのリスク
オフラインでの収益化としては、ギャラリーを通じた作品の販売も有力な手段です。
ギャラリーとの契約により、作品が広く展示され、アートコレクターやファンとの接点が増えることが期待されます。しかし、ギャラリーは通常、販売価格の30〜50%の手数料を請求するため、十分な利益を確保するためには多くの作品を販売する必要があります。
また、ギャラリーとの契約条件を慎重に検討することが重要です。
独占契約を結ぶことで、他の販売チャネルを制限されるリスクもあります。そのため、ギャラリーに依存せず、自分自身でも販売チャネルを持ち続けることが収益の安定化に繋がります。
4.複数の収入源を持つことのメリット
アーティストが絵だけで稼ぐことは可能ですが、複数の収入源を持つことで経済的な安定を図ることが推奨されます。
以下に、収益源の多様化についていくつかのアイデアを紹介します。
ワークショップや講演の開催
ワークショップや講演会の開催は、アートスキルを共有し、他の人々をインスパイアする素晴らしい方法です。
特にオンラインでのワークショップは、地理的制約を超えて多くの参加者を集めることができ、アーティストとしての知名度を高めることにもつながります。
ライセンス契約やパートナーシップ
また自分の作品を商品化したり、企業とパートナーシップを結ぶことで、追加の収入を得ることも可能です。
例えば、イラストをライセンス契約で商品に使用してもらうことで、継続的なロイヤリティ収入を得ることができます。このような収入源を開拓することで、安定した収益を確保できる可能性が高まります。
5.明確なビジネスプランの策定
アートで収益を上げるには、感性だけではなく、しっかりとしたビジネスプランが必要です。
ビジネスプランを作成する際には、「S.M.A.R.T.」の原則に基づく目標設定が推奨されています。
S.M.A.R.T.な目標設定
「S.M.A.R.T.」とは、Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Relevant(関連性)、Time-bound(期限付き)の略です。この原則に基づいて目標を設定することで、進捗を確認し、調整することが容易になります。
例えば、「1年以内にオンラインストアで10万円の収益を上げる」という具体的な目標を設定し、それを達成するために必要なアクションを洗い出すことができます。
計画の柔軟性
ビジネスプランは、進捗に応じて定期的に見直し、必要に応じて変更することが大切です。
アートビジネスは市場の変化に敏感であるため、柔軟な計画と対応が成功の鍵となります。また、フィードバックを受けながら、目標や戦略を微調整することで、より実現可能なプランに進化させることができます。
まとめ
アートで収益を得るためには、オンラインとオフラインの両方で積極的に活動し、販売戦略を多様化することが重要です。
ブランド構築やマーケティングの工夫、複数の収入源を持つことで、アーティストとしての成功への道が開かれます。加えて、明確なビジネスプランを持ち、目標に向けて具体的な行動を継続することが、持続可能なアートビジネスの実現に繋がります。
最後に、絵を描く時間や空間をくださった方、絵を観にきていただいた方、絵を購入された方、絵を展示するために準備してくださった方などなど、周囲の方々への感謝の気持ちを忘れずに。(実はこれが一番大事!)