今日の朝、同部屋のブラジル人、リカルドが部屋を出て行った
今日の別れはいつもと違った
いつもなら、次はあそこに行く、とか
あそこに行ってあそこにも行くんだ、とか
いろいろ話すことあったのだが、
リカルドは留学生活を終え、祖国に帰るのだ
祖国に帰る同部屋人は、6月の山崎さん以来、2人目だ
さみしい空気が流れていた
静かな朝だった
荷物をまとめている時、俺は目が覚めた
眠かったが起きた
別れのアイサツをするために
レストランでのバイトのことは昨日言ったし、
あとは別れの言葉だけだった
荷物をまとめ終わり、握手を求めてきた
ここまでは俺のイメージ通りだ
そしてアイサツ
言葉が出なかった
ただ笑っていた
リカルドもオレも、ただ笑った
リカルドとは2週間一緒にだった
今までで1番長かった相手だ
最初はいつも部屋に閉じこもってて、何しにマドリッドに来たんだ、
というようなヤツだった
それから少し話しをするようになり、
いろいろ冗談も言うようになり、
最後にはちゃんとバイトのことも話せるような信頼できるヤツになっていた
たぶん、まだ飛行機の中だろう
日本人のイメージ、どういう風に感じてるかな?
最後にちゃんと言ったから、少しはいいイメージになったかな?
まぁ、とりあえず無事に祖国に着いてほしいものだ
ただただ、今日は静かだった
そう、そういえば、またペンシオンでメシを食べさせてくれた
チーズ系料理大好きだから、スペイン料理はウマイ
まぁ、カレーライスのは負けるけどね
懐かしい感じがした
夏の日の静かな昼下がりの家を思い出した
俺の好きな真っ白い夏が、スペインにもあった
今日は、ただただ静かであった
今日は、ただただ白かった
今日は、ただただ夏であった
俺の好きな、真っ白い夏であった