「一枚の絵で人は変わります。」
この言葉が、私の心に強く残っています。
2017年、銀座で行われた私自身の個展にいらっしゃいました小田原市の須藤さんという方が、その言葉を体現していました。
たった一枚の絵との出会いで、銀行勤めを辞めて美術館を創設したのです。人生を変えることができる芸術家には、そのような責任があるのだと思い知った瞬間でした。
■すどう美術館
https://www.sudoh-art.com/jp/about.html
私は、自分の作品が誰かの心を変え、人生に影響を与える可能性に常に思いを馳せています。
購入された方々には「買ってよかった」と言われるような、感動を与える作品を届けたい。それは、単に美しいだけではなく、感情が前面に出た、心の奥底に訴えかけるものでなければならないと考えています。
絵を描いていると、しばしば神様をとらえたいという衝動に駆られます。自動書記のように無意識のうちに手が動き、色を重ねていくうちに、キャンバスから何かが浮かび上がってくる感覚を覚えます。
その瞬間、私は一人で制作している気がしない。まるで誰かと一緒に描いているような感覚なのです。
技術の向上だけでなく、感謝の気持ちに敏感になることが、私にとっての大きな変化でした。
作品を手に取ってくださった方には、心からの感謝を伝えたいですし、その絵が心の安らぎや感動を与えることを願っています。
芸術は、単なる視覚的な美しさを超えて、私たちの感性や心に直接訴えかけます。
自然や人間そのものが芸術の源であり、私たちは生まれた時からその影響を受けて育ってきました。
鳥のさえずりや風の音、季節の移り変わりといった自然現象に触れることで、感覚が研ぎ澄まされていき、それがやがて音楽や絵画、彫刻といった形で芸術に昇華されていくのです。
芸術は決して単なる趣味や装飾品ではなく、人々にとって精神的な安らぎや生きる喜びを与える力があります。
どんなに不条理な世界にあっても、歌や踊り、絵画が私たちを一瞬でも別の世界へと誘います。
だからこそ、私は一枚一枚の絵を描くたびに、その責任と喜びを感じ、心を込めて制作を続けています。